突然の危篤、そして、心停止。
2019年
11月下旬
「容体が急変しました。危険な状況です。」
との知らせを電話で受けた妻。
何がどうなったのかわからないでしょう。
いきなりの電話です。
私は、ベットの上で意識不明の状態を、研修医さんにより発見されていたんです。
そこからの妻は、夢の中の出来事の様な、確固たる意識が無いような状態の中、
実母と共に病院来てくれたそうです。
2時間程で終わると説明された、
経皮的動脈止血術。
恐らく、一部破裂した脾臓の動脈から出血を止める為の手術でしょう。
理由はわかりません。余程事態が切迫していたのか、
手術室ではなく、集中治療室(ICU)にて処置が行われました。
カテーテルや内視鏡での止血処置だったそうです。
そう説明されたそうですが、時間が過ぎてもなかなか終わりません。
6時間以上に及ぶ手術だったようです。
脾臓のほか、十二指腸と肝臓からの出血も判明し、
カテーテルや内視鏡での処置が困難となり、
腹腔鏡手術などを駆使いただき
止血の手術は広範に及んだみたいなのですが
開腹することなく対処を行っていただきました。
上記処置の内容は、妻の記憶と医療明細書、各種承諾書を基に記載しています。
実際にはどのように処置をどのような手順で行っていただいたのかは分かりません。
間違いが多いかも知れません。
不正確な情報である事を、予めお詫びいたします。
術後、妻に見守られる中、心臓は停止してしまいました。
不謹慎な表現かもしれませんが、私自身の戒めとして敢えて言わせていただきます。
私はここで一度死んでしまったのです。
妻は完全に気が動転しており、放心状態での記憶です。
定かではありません。でも、ほぼ間違いはないのでしょう。
AEDの使用時の安全な距離を取るためなのか、
単に邪魔だったのか、
妻には強い力で押しよけられた感覚が残っており、
私の周りが一気に騒然となり、ベッド周りには先生方や看護師さん方が集結。
そのうしろ姿の光景、それはほんの目の前の現実にも関わらず
離れた所から夢の中でその光景を見ているような感覚。
それが鮮明に目に焼き付いているそうです。
妻にはこの後の記憶は無いそうです。
何がどうなって何をしていたのか。
命の復活。そして、新たな試練。
どれぐらいの時間、
どれだけの懸命の処置を施していただいたのでしょう。
私は助けていただいたのです。
命を復活させていただいたのです。
改めて対面した私の姿は
輸血や点滴の類。
人工呼吸器にもつながれ
身体中が多くの管につながれた状態。
しかし、お医者様からは、
「お別れになるかも知れない、呼べる親族はお呼びになられた方がよい」
妻はそう告げられました。
気が動転している中、そこから何をどうしたのかは覚えていないそうですが、
他県に嫁いだ長女夫婦をはじめ、皆様が集まってくれたそうです。
人工呼吸器や、たくさんの管につながれた状態の私。
その姿を見た義兄は、不思議とこのまま死んでいく感じは全く無かったと。
実姉はとても見れる状態ではなかったと。
二人いる娘の印象は未だ聞かせてもらえていません…
【ICUでの面会は細かく規定されています。血縁者以外の面会も制限されています。
他にも重篤な患者さんがいらっしゃいます。お騒がせしましたこと、お詫び申し上げます。】
ここからも、厳しい状態は続きました。
10数年来、左の腎臓に結石を患いながらも、石は大暴れする事もなく
仲良くお付き合いが出来ていた様に思うのです。(今でもおとなしく留まっています)
血液検査などでは異常を指摘されたことの無い腎臓だったんですが、
どうゆう理由なのか、末期腎不全に。
腎機能は正常時の10%以下しか機能しておらず、
薬剤による治療では、もはやコントロールできない状態。
血液透析を施していただくことに。
更に管が増え、人工呼吸器や透析の機械につながれた私。
しかし、私には意識が無く何の記憶も苦痛感も残っておりません。
懸命の治療のお陰なんです。
看護師さんは付きっ切りで、
機器のモニターチェックと容体チェックをしてくれていたそうです。
私はご担当頂いた皆様のお陰により、峠を越えることが出来たのです。
劇的な回復。先生、看護師さん、みなさまに感謝です。
峠を越えてからはみるみる回復し、
手術を含めたICUでの治療期間は2日間。
その後、HCU(高度治療室)に移動。
人工呼吸器も外されました。
丸一日の容体観察の後、
脳の異常を確認するためのCT検査。
異常の有無は私には分かりません。
まだこの頃の記憶はありません。
記録によると
血液透析は2度行われ、腎臓の機能も回復した様で
血液透析も終了。
HCUに移り4日間の治療の間に
繋がれていた管や機械が徐々に外されていったそうで、
妻にとっての大いなる喜びであったと。
一方、肝心の悪性リンパ腫に対する標準治療である、
化学療法は進んでいません。
標準治療とは、科学的根拠に基づき、
現在利用できる最良の治療であることが示された治療法です。
ギリギリの選択なのでしょうか
HCUでは、
悪性リンパ腫の標準治療であるCHOP療法の中の一つの薬、
Cに該当するエンドキサン(シクロホスファミド)
と
Pに該当する副腎皮質ホルモンのデキサート
の点滴を受けています。
この頃になると、今振り返っても
当時の記憶は全く残っていないのですが
意識不明の状態ではなかったそうなんです。
九死に一生を得た私は、一般病棟に移る事ができました。
全く記憶が残っていないのですが、
ICUやHCUで懸命に治療に当たって下さり
命を取り留めていただいた
先生方や看護師さん達には感謝しきれない程の感謝で一杯です。
ありがとうございました。
~ To be continued ~
おわりに
ここまでお読みを頂いた皆様、お伝えさせていただきたいことがあるんです。
素人の表現です。語弊があるかも知れません。
どうか、真意を汲み取って下さい。
人間の体は、病気の種類や病状にもよるのでしょうが
思っているよりも、いとも簡単に壊れてしまいます。壊れました。
無敵の健康なんてあるはずはないんです。
私自身、無敵の健康体と自負していたんです。
正常性バイアスです。これが勝っていたんです。
人間の心は、自分にとって不都合な現象や情報を過小評価してしまうんです。
心を守る防御反応なのだそうです。予期せぬ現象に対しては鈍感なんです。
人間はそういう生き物らしいです。私も確かにそうでした。
体の不調を少しでも感じたのなら、強がりの気持ちを捨てて、冷静に自分の体に問うて下さい。
異常を感じているのは、決して気のせいではありません。
体がSOSを発して教えてくれているんです。
「大の男が」なんて気にしたら恥ずかしい目に合うかもですよ。絶対に駄目です。
愛する人、愛する家族、あなたにまつわる全ての方々の為に
ご自身の安全確認のつもりで受診をして下さい。
今思えば、それが責任感のある人間としての行動なんです。
責任感で全うすると思って、病を押して仕事に臨んで、挙句の果てが長期休業。
これが責任感のある行動でしょうか?
単なる自己満足ですよ。武勇伝でも何でもありません。
結果的には、お客様、会社にとっても迷惑な振る舞いとなるんです。
家族や愛する方にはなお更です。
どれだけの心配を掛けたのだろう。どれだけ不安にさせたのだろう。
まいにち毎日、お見舞いに来てくれる妻。
きっと、天気が良い日でも、心は晴れやかでなかったはず。
しっかり眠れたのだろうか。娘も同じです。
心停止から復活できるケースは、本当に先生や看護師さん達皆様のお陰です。
でも、たまたまなんだとおもいます。助からなくてもおかしくはなかったんです。
こうして、少しづつでも回復すれば、家族へはご恩返しが出来るんですが
そうでなければ、醜い虚勢を張ったバカな夫だった。で終わってしまうんです。
自分の体の状態に過敏になる必要は無いですが
まさに、「ご自愛くださいね」とはこの事なのかなと思います。
自分を愛せない人が人を愛せますか?守れますか?
愛する家族や人を悲しませない為にできる事。
?…おかしいなと感じたら、直近の健康診断の結果を持参して
是非、病院を受診なさって下さい。
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