コロナ禍の心構え。正常性バイアスを克服して病気を正しく恐れよ。

悪性リンパ腫 闘病記
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ICUでの看護師さん達の働き

第三波のコロナ禍の昨今、
重症者に対する治療の報道を聞くにつれ、
殊に医療崩壊の言葉を耳にするたびに思う事。

手も足も出せない状況、手に負えない状況を
崩壊と表現されるとニュアンスが違う気がします。
病床数や対応いただける人員が足りない状況ではあるのは事実です。
言葉の意味の問答をしたい訳ではありません。

私の経験からお伝えできる
ICUでの治療現場の実際をお伝えしたいのです。

あくまでも私が入院中に看護師さんから伺った話や妻から聞いた話を
私の頭で整理してお話しをさせていただく程度の内容でございます。
間違いがあるかも知れません。悪しからずご了承下さい。

妻から聞いた話で
私に施していただいた、ICUでの献身的な治療が思い起こされます。
私がICUで延命の処置を施していただいた時
一人の看護師さんが私にほぼつきっ切りで
モニターチェックや容体チェックをしてくれていたのです。

ICUにて治療を受けられる方は、かなり重篤な状況なんです。
ベットの周りは各種のモニターでぎっしりなんです。
その数は1つや2つではないんでしょう。

先ずは知って下さい。

ICUに従事されている看護師さんは、
その病院に属される看護師さん全ての方が
交代で順番に担当されている訳ではありません。
恐らくICU専任で担当されていると思われます。

コロナ罹患者への治療の場合、
ご自身の感染リスクを物ともせず…。
物ともせず…そんな筈はないでしょう。

誰だって恐い筈です。当然です。
怖いと思う気持ちを押し殺して、
気持ちに打ち勝ってお務めいただいている筈なんです。

看護師さん各々の事情により、平時はICU治療に従事されていても
殊、コロナ罹患者への対応においては、
それが許されない場合もあるでしょう。

医療に従事されている方々でも、個人の事情は優先されるべきです。
各々の事情でなされた決断に、他人が異論を唱えること等
絶対にあってはなりません。

私はそう思います。

肺炎で人工呼吸器を装着されている方の各種モニターが示すメッセージは
刻々と変化し、僅かな変化も見逃せないのでしょう。

私も一時期、人工呼吸器の装着にて生き永らえさせていただきました。
エクモならなお更の事だと思われます。
恐らく、一人以上の看護師さんが、
コロナ罹患者に付きっ切りで、モニターや容体を見守られている筈です。

かつ、想像ですが、平時よりも
従事いただける看護師さんの人数も少ないのではないかと思われます。
となると、
治療できる患者さんの人数も平時より少なくなりますよね。

医療に負担を掛けない為に知るべき、正常性バイアス。

命はすべからく等しい価値があるのです。
コロナに罹患されている方の命も、
他の病気に罹患されている方の命も
救命が疎かにされてはなりません。

病床数は定数です。一朝一夕で増えることはありません。
一方、病気に罹患される方は定数ではありません。
増減します。コロナ禍においては増加の一途です。

コロナ罹患者が増えれば、その他の病気の罹患者が減る訳ではありません。
病床は椅子取りゲームであるべきではないのです。
早い者勝ちであってはならないのです。

病床に加え、医療に従事頂ける方、中でも、コロナ治療に従事頂ける方
限りのある有限なものです。

であるならば、日本国民が一丸となって
残り少ない椅子(病床,ベット)を出来るだけ使わないように。
残り少ない病床と医療に従事いただける方々を守らねばならないのです。

ところが、人間は厄介な生き物です。
危機的な状況になればなる程、
「自分だけは大丈夫。」
本能的にそう思ってしまう生き物らしいのです。

正常性バイアスがかかってしまうのです。
根拠のない、強がり的な思い込み。
まるで、武勇伝自慢の如く。

私が重篤化してしまい、病院の皆様にご迷惑をお掛けしたのも
正常性バイアスのメカニズムなのかも知れません。
妻には、病体であるにも関わらず
「自分は大丈夫」健康武勇伝をほざいていたのです。
いわゆる健康自慢馬鹿が犯す過ち。

自身が病気を患ったとしても、
正常性バイアスのメカニズムが働いでしまう事があるのだと思います。
病気と受け入れたくないのです。
時が解決してくれると思うのです。

正常性バイアスが悪いのではありません。
人間の心は、予期しない現象や出来事に対して、
鈍感にとらえて、心を守る働きが必要なんです。
その備えが正常性バイアスなのです。

自分に被害が及ぶであろう時にですら、ある程度までは
今起きていることを正常の範囲内と思って
頭が処理をしてしまうメカニズムなんです。

緊急事態宣言が発布されています。
それは、規制される時間まではご自由にお過ごしください。
そんな意味ではない事はご存知ですよね。

しかるに、テレビ報道は、この正常性バイアスが働いているであろう方の
インタビューコメントを競って報じるのです。
「気にはしていますけどー…(私は大丈夫なので)」と、繁華街におられる方の姿と共に。
そんなコメントを、姿を、何故放映する必要性があるんですか?
短絡的に考えればありません。何を伝えてくれようとしているんですか?

せめて、
「あなたには正常性バイアスが働いていますよ。
今はそんな事を言っている場合ではありませんよ。」と、
20時迄、普通の生活をしていい訳ではない事を。
インタビュアーさんが啓蒙をして差し上げている姿を放映してください。

正常性バイアスが働いている、多くの人々の為に。
そしてなにより
残り少ない病床と、医療従事者を守る為に。

人間の体は状態が悪くなると、壊れやすい物である事を、でも、助けようと頑張ってくれる人がいる事を知って下さい。

病気の種類や、基礎疾患の有無により万人に共通することではないのかもしれません。

でも、どうしても知っておいて下さい。

人間の体はいとも簡単に壊れてしまうという事を。

体の状態が悪ければ、体の中の各組織が一気に死の方向に走り出すのです。
私はそれを実感し体験したからこそ言える事なんです。
一気に各臓器が壊れてしまうことがあるという事を。

そして、人間は自己完結が出来る生き物ではないという事を。

不幸にして独居死のケースもありましょうが、
多くの方の場合、社会生活を営んでいれば
必ず誰かが必死で助けようとしてくれる事を。

助けようとしてくれる方々は、助ける事を迷惑だとは思わないでしょう。
だけども、助けて頂いた私とすれば、
助けていただいたお医者さんの方々、看護師さんの方々へ
多大なご迷惑をお掛けしたと。反省しきりなのです。

これも、テレビでよく聞く話です。
コロナを罹患した方々は、決まって、こう言います。
「ほかの誰かにうつしたのではないかと、気が気ではなかったです。」

大切な視点です。更に、加えて口にして下さい。
「医療従事者に対する感謝の気持ちを、その経験された医療現場での体験を」

どうか、治療を知らない、想像がついていない方々
医療に従事されている方々を
「仕事だから当たり前」と思っている人々に教えてあげて下さい。

そうではないという事を。
業務的に対応されているのではないという事を。

どうかお伝えください。

その献身的な姿や行いを実感した時に、こう思いませんでしたか?

「この方々に出来るだけご迷惑をおかけしてはいけないんだ」

と。私は強く思いました。
だから一人でも多くの方に共感頂き、医療の現場をお伝えいただきたいんです。

この思いが伝わる事で、コロナ禍における各人の行動が
病気を正しく恐れる方向に進む事を。

心からそう願うのです。

~ End ~

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