2回の抗がん剤治療 HDーMTX療法 を受けて

悪性リンパ腫 闘病記
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HD-MTX療法は入院による治療


HDーMTX療法はメソトキセレート薬剤の投与量を大幅に増やして
点滴投与してもらう抗がん剤治療の1種です。

私は、脳や中枢神経系に再発が多いとされる
精巣原発のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である可能性が高く
予防の為 HDーMTX療法を受けることになりました。

HDーMTX療法は、計8回行ったR-CHOP療法のうち

最終、8回目の (リツキシマブ)の投与を終え
残すところ1回の
CHOP療法  (エンドキサン) (ドキソルビシン) (オンコビン) (デキサート)
を前にして、

2020年5月中旬

入院により
1回目のHDーMTX療法を行うことになりました。

治療そのものは点滴ですからなんてことはありません。

ただ、この治療、下記の通り、少々面倒が伴います。

HD-MTX療法では、大量のメトトレキセートを投与するため、体内からメトトレキセートが排泄されているかどうかを、定期的に血液検査で確認する必要があります。メトトレキセートの排泄遅延が起きると、予期しない骨髄機能抑制肝機能障害腎障害等の重篤な副作用が起きる事があります。メトトレキセートの排泄遅延が起きた場合は、ロイコボリンの追加投与や十分な水分補給を行います

国立がん研究センター 中央病院 がん種別化学療法より1部引用

メソトキセレートを大量投入する事で
点滴後の体内のメトトレキセート薬剤の残留状況を把握する必要があるんです。

尿量のチェック。
点滴投与後、約1週間の間、
トイレに行った都度に
時間と尿量を計って記録しなければなりません。
24時間ずっとですよ。

尿を計量しなければならない期間は
体内からメトトレキセート薬剤が排泄される状況に依るのでしょう。
薬が早く排泄されればその分、計測記録の期間も短くなるのかな。

加えて、6時間毎に尿のペーハー(㏗/酸性度・アルカリ性度)を
計ってもらう必要があります。
尿はアルカリ性であることが望まれます。

他愛もない話ですが、入院中、例えば

  • 尿の記録を付ける事からの解放。
  • 定時の㏗測定からの解放。
  • 点滴回数が減ること。

これらの一つ一つは、快方に向かっている証。
私はモチベーションが上がり嬉しかったです。

入院期間中はずっと点滴してるんです。


で、何より大変だったのは点滴。
HDーMTX療法の開始前日より、6時間に1本の割合で24時間連続で
ずっと点滴を打っているのです。
そんな日が続くんです。

大した苦労ではないんです。
ほんの少しストレスを感じる程度のことなんです。

HD-MTX療法を受けた後、
メソトキセレートの血中濃度が下がり始め
点滴が1日3回に減ったのは、治療後、約8日目。
治療後8日間、1日4回、24時間連続の点滴が続くんです。

そこから1日3回の点滴になりました。
約3日間続きました。

更に血中濃度が下がり、1日2回の点滴になるんです。
2回と言っても12時間ですよ。
こちらも約3日間程続きました。

そして1回になって約3日間程。

体から完全に排泄されたであろうとされるまで続くんです。

そんなに薬漬けで大丈夫?何を点滴しているの?
思われませんか?
点滴しているのは
ソルデム1という下記の水みたいな物です。

水と電解質(イオン)を主成分とし、
体液より電解質濃度が低く細胞内液を含む体全体に水分を補給でき、
水分や電解質を含む輸液剤を点滴により補給することで
体液のバランスを整え病態の治療効果を高められる輸液剤

日経メディカルより一部引用

とにかくHD-MTX療法での入院中は
ほぼこのソルデム1と随時必要な薬剤を加えた点滴づくしなんです。
メインの薬剤であるメソトキセレートも、ソルデム1に紛れて投入されている感じ。
1回500mlを6時間かけてゆっくり滴下させ、次から次に…途切れることなく。

退屈ですが、うろうろ歩き回る事はあまりしません。
それでも、飲み物の自販機やおトイレに行くことはあります。
おトイレは大いに行きます。
点滴はどこに行くにも連れて歩かなければならないのです。

点滴の影響なのでしょう。
とにかく尿がたくさん出るんです。
私の場合、1日5L以上排泄した日も少なくありません。
1日10回以上はトイレに行くんです。

唯一、点滴から解放される時間があります。
ほんの数十分ですが。

毎日のシャワータイムだけが点滴から解放されて自由に歩ける時。
腕に点滴の針を差し込んでいる管の部分を腕と共に
サランラップでグルグル巻きにして一応の防水処置を行いますが、
効果は余りありませんでしたね(笑)
そんな感じでした。

一本の点滴が終了する時間を見計らって
シャワーの時間を予約してもらうんですが
点滴は、打っている時の腕の位置や体勢などの影響を受け
滴下のペースは乱れます。狙い通りには終われません。

入院治療に要した期間は2回の治療ともに1か月前後かかりました。
弱いストレスは感じますが、つらい治療ではありませんでした。

1回目のHDーMTX療法での副作用


1回目のHD-MTX療法で私に生じた副作用は
HD-MTX療法の上記引用の説明文に記載されている通りの

  • 腎障害
  • 肝機能障害
  • 骨髄機能抑制

でした。

この副作用に関する私の個人的な感想です。

血液検査の腎臓や肝臓の機能を示す数値は確かに悪かったです。
骨髄抑制の影響も今までに無く少し長引きました。
ですが、それだけ。体感する副作用はありません…感じていません。
何の辛さも感ませんでした。

血液検査が示す結果では

腎機能の状態を示すクレアチニンの数値が
HD-MTX療法の翌日より上昇し始め
翌々日、基準値の倍程に上昇。

そこから一進一退が続き、なかなか下がりません。
そんな中、肝機能の状態を示す項目
ALTとASTの数値が基準値を超えはじめてきました。

入院の間、腎臓、肝臓に生じた副作用に対する治療は受けていません。

とにかく、ひたすら点滴を受けて水分を強制的に補給して
メソトキセレートの血中濃度が低下するのを待つ日にち薬。
それと、私が決めた病気との闘い方。
食事は必ず毎食完食する事に勤めるだけです。

骨髄機能の抑制はHDーMTX療法を終えてから
2週間を過ぎたあたりから始まりました。

骨髄機能抑制により減少した血球を向上させる
ノイトロジンという筋肉注射を施してもらうのですが
なかなか上昇に転じてくれません。

骨髄機能抑制の影響で退院が数日延期になりました。
ノイトロジンを4日連続で注射。
満足いかないながらも許容できる範囲まで回復するのに
6日間を要しました。

いずれも、血液検査の結果が示す数値です。

体感する辛さは何一つ感じる事無く退院する事で
2020年6月上旬
1回目のHDーMTX療法は無事終了しました。

2回目のHDーMTX療法


1回目のHD-MTX療法の副作用がそれ程に強かったからなのでしょうか。

私に対する2回目のHD-MTX療法方針に関して
賛否両論、討議いただいたそうです。

カンファレンスでは1回目の治療時の副作用で受けた
腎臓や肝臓のダメージを勘案すれば

『腎臓や肝臓のこれ以上の悪化は避けるべき』

との考えに立ち
治療は行うべきではないとの意見も見られたようです。

1回目のHD-MTX療法の退院後
1か月を過ぎた2020年7月上旬

最終8回目のCHOP療法を終えました。
R-CHOP療法はこれにて終了です。

CHOP療法を受ける前に行った血液検査では、
HD-MTX療法の副作用で悪化していた血液検査の項目は
素人表現ですが99%回復していました。
悪化した項目はほぼ基準値迄戻りました。
(小数点数点以下の数字が基準値を上回る程度)。

その結果を受けてなのでしょうか
主治医の先生から
薬量を減らして2回目のHDーMTX療法を行う提案を受けました。
私は躊躇することなく即了承。むしろ歓迎、有難いです。

2020年8月下旬

2回目のHD-MTX療法の為の入院です。

入院の時点の血液検査では
1回目のHD-MTX療法で現れた

  • 腎臓や肝臓の状態を示す項目
  • 血液の血球各成分の項目

いずれも全てが基準値内まで低下。
血液検査の数値が示す身体のコンデションは回復していました。

2回目のHD-MTX療法の薬剤メソトキセレートの薬量は
1回目の3割7割を減量しての治療となりました。

治療後のする事は1回目と同じ。

  • 尿の計量と時間の記録
  • 尿の㏗測定
  • 24時間ずっと点滴

これは変わりません。

副作用が強く出た1回目のHD-MTX療法後の
ソルデム1の1日の点滴回数は
治療後約8日間 1日4回
その後約3日間 1日3回
その後約3日間 1日2回
その後約3日間 1日1回

薬量を減量して行った2回目の時のHD-MTX療法後の
ソルデム1の点滴は
治療後約2日間 1日4回
その後約2日間 1日3回
その後約3日間 1日2回
その後約7日間 1日1回

血液検査項目の腎機能の状態を示すクレアチニンの数値は
悪化のピークで基準値を10%程度を超える程度に収まり
治療後10日を過ぎた頃には
既に基準値を内まで低下していました。

腎臓をよりいたわる目的で
1日1回の点滴を継続する運びに。

肝臓の機能に関する血液検査項目は
いずれも基準値内を超える事無く、正常を維持しする事が出来ました。

骨髄抑制による血球成分の減少は生じました。
減少した血球成分を向上させる
ノイトロジンの筋肉注射を1回打つことで回復。

薬量が7割も減ると
副作用がこうも軽くなるんだという事を実感しました。


ただ、1回目と同様、HD-MTX療法後
体感する副作用を感じる事も無く無事に退院する事ができました。

ご紹介させて頂いた経緯は、あくまでも私の場合であり
同じ治療を受けられる方全ての方が同じ軌跡を辿る訳ではありません事
ご承知置き下さい。

ただ一言だけ付け加えさせて下さい。

入院中も、同室の方々は
ご自身の体の状況が許さないからなのか
食事を軽んじておられるイメージを
カーテン越しにですが感じていました。

お薬を服用する者にとって、
吐き戻す事は治療の妨げとなるでしょう。
極力避けなければならないと思います。

しかし、吐き戻さない範囲で、食べられる範囲で、
精一杯食べていただきたいと願います。
少しでも体の基礎コンディションを整えていただきたいと願います。

私の副作用が軽く済んだ事とは関係が無いのかも知れませんが
是非、お考え下さい。

私たち罹患者に出来る事はそう多くありません。
体力向上、健康に繋がりそうで、ご自身で出来る事。
それが食事であると私は思うんです。

食べるのが辛い時もあります。
食べられない時もあるでしょう。

でも、食べない姿、食べれない事を
心配し辛い思いをされているご家族さんがいらっしゃる事を忘れないで下さい。

そのことに想いを馳せるように努めていただけませんか。

食べる事でご家族さんは絶対に安心なさいます。
食べる事でご病気を患っておられるご自身さんの力になるんです。
お医者様が食事を許されている限りは、悪い事は一つもありません。

どうか食事を大切になさって下さい。

~ END ~

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